板橋病院
涙道外来
涙道外来
担当医:加島 陽二、大西 貴子、原田奈月子
診察日:水曜日/午後(予約制)
「涙道専門外来」では流涙を主症状とする涙道閉塞の診断、最先端のシステムを用いた治療を行っています。
流涙とは、涙を出させる刺激(感情やタマネギの刺激臭など)がないのにもかかわらず、涙が溢れてしまう症状です。
涙の生理的排出ができない涙道閉塞という病気の可能性があります。当外来では涙道閉塞による流涙の治療を専門的に行います。
~流涙で困っている人は実はたくさんいる!~
「涙が多いことは眼にとって害にはならない」という考えが、少し前までの眼科医には一般的でした。しかし最近ではこの考え方が見直されるようになっています。
流涙症状は非常に煩わしく、自動車や自転車の運転に支障がでるような視機能低下をきたす可能性を指摘されています。
また接触性皮膚炎や急性涙嚢炎(顔面が腫れあがるような大変つらい病気です。)の原因になると言われ、近年では治療がすすめられています。
たかが涙目とはいいますが、切実な問題なのです。
涙道閉塞の治療法は主に下記の二つになります。
① 涙道内視鏡を用いた涙管チューブ挿入術
極細の涙道内視鏡を用いて涙道を観察しながら閉塞部を開放し,再閉塞予防のために涙道チューブを一時的に留置する方法です。(チューブは数か月で抜去します。)
2003年から当科では9割以上の方に症状の改善を自覚いただいています。
局所麻酔・日帰り手術となっています。術後は日常生活での制限はありません。涙道チューブ留置後は、月1回程度涙道の洗浄を行い、約2か月後に外来で抜去します。
- 当院の涙道内視鏡システム
- 最新鋭のカメラがこの先に付いています!
- 涙道内視鏡でみた涙道内腔
- 炎症により形成された肉芽組織が観察できます
② 涙嚢鼻腔吻合術
涙道チューブ留置術を行えない場合や再発を繰り返すなど難治性の場合には、涙嚢鼻腔吻合術(涙嚢と鼻腔の間の骨を削って新しい涙の通り道を作る手術)を行っています。本手術ではほとんど全例で流涙が改善しています。
鼻内法と鼻外法の2通りの方法があり、鼻内法の場合は耳鼻科と連携し手術施行しております。
全身麻酔での施行になるため、入院が必要です。
★ 先天性鼻涙管閉塞にも対応いたします ★
生後まもなくから流涙がつづく先天性鼻涙管閉塞は生後12か月までに約90%が自然治癒と言われています。
そのため近年では無理に開放術は施行せず経過観察を推奨する意見が強くなってきています。しかしその一方で、一定の割合で自然治癒せず治療が必要になる赤ちゃんが存在し、
眼科医によるプロービング(ブジーという針金のような器具を用いた涙管閉塞開放術)の成功率は熟練医で75%と言われています。
どうしても安全に治療するには全身麻酔で涙道内視鏡を用いた治療が必要なケースがあるのです。当院では通常より細い涙道内視鏡を小児の涙道閉塞の場合には使用しております。