板橋病院
手術について - 白内障
白内障
白内障手術は片眼で日帰り手術、1泊2日、2泊3日さらに数泊して両眼手術があり、目の状態など含めて担当医とご相談のうえ日数を決めていただくことが可能です。 また、多焦点眼内レンズも導入しています。
白内障とは?
眼はよくカメラにたとえられますが,カメラの「レンズ」に相当する部分が水晶体で,水晶体が濁る病気を「白内障」といいます。
白内障の原因
いろいろな原因で白内障が起こります。最も多いのは,年齢を重ねることによって徐々に起こってくる白内障です。 眼の中の他の病気,例えば,ぶどう膜炎,緑内障,網膜剥離などと一緒に起こる併発白内障もあります。 また,体の病気,例えば糖尿病,アトピー性皮膚炎に伴って起こる場合もあります。その他には副腎皮質ステロイド薬などの特殊なお薬が原因で起こる場合や眼のけがで起こる場合もあります。
白内障の症状
白内障では,曇りガラスを通して見ている様な霞んだ感じ(霧視)や視力低下,明るいところで見にくい(昼盲)や光がまぶしい(羞明)などの症状が起こりますが, 個人差があり,眼のほかの病気でも同じような症状が出ることがあります。
白内障の手術が必要な方
白内障の手術は,上記の様な症状があり以前と見え方が変わってきたと感じられた場合に行います。 白内障と診断されても,視力がよい方や,ご本人が全く気にならない場合には手術をすぐにする必要はありません。 しかし,視力が良い場合でもまぶしさが強く気になる方は早期に手術を行います。 また運転免許を更新するためには,両眼で0.7以上の視力が必要ですから,免許更新の前に余裕を持って受診していただくことをお勧めします。 特殊な場合ですが,急性緑内障発作の方で,白内障が原因で起こった場合には視力が良くても手術を行わないと失明に至る場合もあります。 その他にも屈折矯正を目的として白内障手術をする場合もあります。
白内障の手術を受ける前に行う検査
白内障の手術を受ける前には体の詳しい検査と眼の詳しい検査を行います。
また,現在おかかりの開業医や他の病院の担当の先生にご病状をお伺いするお手紙を書き,お返事を頂いて,手術の時の参考にさせていただくことがあります。
体の詳しい検査の結果,心電図に異常があったり,血液検査で異常があった場合で、内科の管理を受けていない場合は必要な科に受診して頂きます。
眼の詳しい検査としては,角膜内皮細胞検査などを行います。角膜内皮細胞は,特殊な細胞で他の組織とは違って細胞分裂をしない特徴があります。
角膜内皮細胞は,年齢とともに少なくなりますし,生まれつき少ない方,怪我をされた方などでは,白内障手術に耐えられない場合もあります。
内皮細胞が非常に少ない方は,将来,水疱性角膜症といって黒目がむくんで見にくくなる病気になることがあり、その場合には角膜内皮移植術という角膜移植手術が必要になります。
当院では、水疱性角膜症になった場合には、角膜内皮移植術という角膜内皮細胞を移植する手術も行っておりますので、白内障術前に角膜内皮細胞が極端に少ない場合でも手術が可能です。
入院,手術の流れ
手術当日は,手術の数時間前から瞳を広げる目薬をさしていただき,病室でお待ちいただきます。手術室に向かうと,心電図,血圧計,血液中の酸素の量を調べる器械などをつけ,原則,局所麻酔で行います。
手術中痛みを感じる事はほとんどありません。
手術をした方の眼には眼帯をしますが,手術をしていない眼は見えますので,お手洗いや食事はご自分でしていただけます。
しかし,片眼に眼帯をすると遠近感がなくなって階段や段差が危険なので歩く時には十分に注意していただく必要があります。
手術の翌朝に眼帯をとって診察をします。その後は,保護眼帯をお渡ししますが,両眼で見ることができるようになります。
術後に眼を強くこすったり,ぶつけたりしないようにご注意いただきますが,普通の生活,仕事に戻っていただいて構いません。
目薬をお渡ししますので,回数を守って点眼して頂きます。術後の診察は,予約票をお渡し予約日に受診していただきます。
通常,目薬は3か月ほど点眼して頂きますが,その間の診察については,ご紹介いただいた開業医の先生に経過を診ていただく形になります。その際,担当医から経過についての詳しいお手紙を送ります。
白内障手術について
白内障手術は,濁ってしまった水晶体を取り除き、水晶体の代わりとなる人工のレンズ(眼内レンズ)に置き換える手術になります。水晶体は袋(嚢)に包まれた状態で眼の中にあります。
眼の一部を約2.4mm切開し,袋(前嚢)に小さな穴を開け,その穴から超音波の機械を用いて水晶体の中身を砕いて吸引します。それから,袋(嚢)の中に眼内レンズを入れます。
嚢は,1ミクロンほどの細い糸で眼の中に釣り下がっています。しかし,その糸の数が少ない方や弱くてすぐにちぎれてしまう方もいらっしゃいます。
また,嚢の厚さは0.2ミクロンほどで大変に薄くもろいので手術操作に耐えられずに破れてしまう場合もあります。
そのような場合には,嚢の中に眼内レンズを入れることができませんので,特殊な方法で眼内レンズを眼の中に固定します。
当科では,瞳が広がりにくい方や水晶体をささえる糸が弱い方,角膜内皮が少ない方,他に病気をお持ちの方などの普通の手術方法では手術ができない方など、難症例にも対応しています。
眼内レンズについて
術後にどのような見え方をご希望されるかによって使用する眼内レンズが変わってきます。
読書や手芸、新聞を読むなど近い距離をはっきり見たいというご希望の方には近くが見やすい眼内レンズを使用します。
近いものがはっきりと見える代わりに、遠くのものがぼやけて見えてしまうので、遠くを見るための眼鏡が必要になります。
運転をされる方や、離れたい位置にあるテレビなど、遠くの物をはっきりと見たいというご希望の方には遠くが見やすい眼内レンズを使用します。
遠くのものがはっきりと見える代わりに、近くの物がぼやけて見えてしまうため、近くを見るための眼鏡(老眼鏡)が必要になります。
いずれの場合でも術後の眼鏡使用が必要となります。術後約1~2ヶ月で眼鏡を処方することが可能になります。
一度眼内に入れたレンズは原則的に入れ替えることはありません。その為、どのような見え方を希望されるかを担当医とよく相談した頂き、使用する眼内レンズを決定します。
水晶体・眼内レンズ脱臼、眼内レンズ二次固定
- 水晶体や眼内レンズは眼底に落下してしまう事があり、これを水晶体(眼内レンズ)脱臼と呼びます。我々の施設では落下した水晶体(眼内レンズ)を拾い上げ、適切に処理することが可能です。その際、できるだけ低侵襲な手術を心がけております。
- 上記のような症例では通常の白内障手術は行えないので、眼内レンズの二次固定法として特殊な方法で眼内にレンズを固定しています。当院では眼内レンズの強膜内固定、もしくは毛様溝固定を行っております。
水晶体脱臼手術
強膜内固定手術
診療科から
可能な限り,まずはお近くの眼科を受診し,そちらの先生とよくご相談の上で手術をご希望の場合は紹介状を書いて頂き,それを持参して日大病院を受診してください。
受診は、月曜から土曜のどの曜日でも結構です。