日本大学医学部視覚科学系眼科学分野

お問合わせ
板橋病院
手術について

板橋病院
手術について - 白内障 -多焦点眼内レンズについて

多焦点眼内レンズについて

白内障手術後の「見え方」と「生活スタイル」に合わせて眼内レンズを選択します

まず知っていただきたいこと

多焦点眼内レンズは、眼鏡に頼らない生活を目指しやすい一方で、夜間の光のにじみやコントラスト低下を感じることがあります。 日本大学医学部附属板橋病院では、眼の状態、検査結果、仕事・運転・読書・スマートフォン使用などの生活スタイルを確認したうえで、患者さんごとに適した眼内レンズを相談します。

このページでわかること

1. 眼内レンズとは

白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、その代わりに人工の水晶体である「眼内レンズ」を眼の中に入れます。 眼内レンズは一度挿入すると基本的に長く使用するものです。 そのため、単に「よく見えるレンズ」を選ぶのではなく、どの距離を重視したいか、夜間運転が多いか、眼鏡をどの程度減らしたいかなどを総合的に考えることが大切です。

眼内レンズ選びで大切な視点

  • 遠くを重視するか、手元を重視するか
  • 眼鏡をなるべく減らしたいか
  • 夜間運転や暗所作業が多いか
  • 網膜、角膜、緑内障など他の眼疾患がないか
  • 乱視を同時に矯正する必要があるか

2. 単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの違い

眼内レンズは大きく「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」に分けられます。どちらが優れているというより、それぞれに向いている生活スタイルがあります。

項目 単焦点眼内レンズ 多焦点眼内レンズ 患者さんの考え方
ピントが合う距離 基本的に1つの距離 遠方・中間・近方など複数の距離 見たい距離の幅が異なります
見え方の質 コントラストが高く、くっきりしやすい 広い距離を見やすいが、光を分けるためコントラストがやや落ちることがあります 見え方の「質」と「幅」のバランスです
眼鏡の必要性 ピントを合わせなかった距離では眼鏡が必要になりやすい 眼鏡を使う場面を減らせる可能性があります 完全に眼鏡が不要になるとは限りません
夜間の光 比較的少ない ハロー・グレアを感じることがあります 夜間運転が多い方は慎重に検討します
費用 保険診療の範囲内 選定療養により追加費用が必要 費用と期待する見え方を確認します

※単焦点眼内レンズでありながら、ピントの合う幅を少し広げるような設計を持たせた眼内レンズ(Enhanced monofocal IOL:エンハンスドモノフォーカルレンズ)が近年発売されており、当院でも複数種類採用があります。保険診療の範囲内で扱える眼内レンズであり、副作用も少なく、費用面で大きな差がない点も安心いただける点となります。

3. 多焦点眼内レンズのメリット・注意点

期待できること 事前に知っておくこと
・遠くから手元まで、見える範囲が広がる可能性があります。 ・夜間に光がにじむ「ハロー」や、まぶしく感じる「グレア」が出ることがあります。
・眼鏡をかけ外しする回数を減らせる可能性があります。 ・暗い場所では見えにくさや、くっきり感の低下を感じることがあります。(コントラスト感度の低下)
・旅行、買い物、家事、スマートフォン、パソコンなどで便利さを感じやすい場合があります。 ・細かい文字、長時間の読書、暗所作業では眼鏡が必要になることがあります。
・乱視用レンズを選択できる場合、白内障手術と同時に乱視矯正を目指せます。 ・角膜・網膜・視神経の状態によっては、多焦点眼内レンズが適さないことがあります。

4. 当院で採用している多焦点眼内レンズ

当院では、患者さんの眼の状態や生活スタイルに合わせて複数の多焦点眼内レンズを採用しています。乱視がある方では、乱視矯正用(トーリック)レンズを選択できる場合があります。

レンズ名 タイプ 得意な距離 ハロー・グレア 乱視用 向いている方の目安
PanOptix ®
パンオプティクス
回折型三焦点 遠方 ◎
中間 ○(約60cm)
近方 ○~△(約40cm)
少なめ あり 遠方・パソコン・スマートフォンまでバランスよく見たい方
Gemetric ® / GemetricPlus ®
ジェメトリクス/ジェメトリクスプラス
回折型三焦点 遠方 ◎
中間 ○(約80cm)
近方 ○~△(約40cm)
少なめ あり 遠方と中間距離を重視しつつ、近方もある程度見たい方
Odyssey ®
オデッセイ
連続焦点 遠方 ◎
中間 ○
近方 ○(約40cm)
多め あり 近方まで広く見たい方。光のにじみを許容できるか確認が必要です
Pure See ®
ピュアシー
屈折型焦点深度拡張型 遠方 ◎
中間 ◎
近方 △(約60cm)
極めて少なめ あり 夜間運転や見え方の自然さを重視し、近方は必要に応じて眼鏡を使える方

※「◎」「○」「△」は当院内で患者さん向けに説明しやすくするための目安です。実際の見え方には個人差があります。

5. レンズ選びの目安

多焦点眼内レンズは「どのレンズが一番よいか」ではなく、「どの見え方がその方の生活に合うか」で選びます。

生活スタイル・希望 検討しやすいレンズ 確認したい点
遠くも手元もバランスよく、眼鏡を減らしたい PanOptix ® / Gemetric ® 夜間の光のにじみ、読書距離、スマートフォンの見え方
パソコンや料理など中間距離を重視したい Pure See ® / Gemetric ® 細かい近方作業で眼鏡を使えるか
新聞・読書・スマートフォンなど近方も重視したい Odyssey ® / PanOptix ® ハロー・グレアを許容できるか
夜間運転が多い、光のにじみが心配 Pure See ® 近方視は眼鏡併用になる可能性

※あくまで目安であり、全員の方に当てはまるものではありません。担当医と相談してレンズは選択してください。

多焦点眼内レンズが慎重になる場合

網膜疾患、進行した緑内障、角膜疾患、強いドライアイ、不正乱視、瞳孔径の問題などがある場合は、多焦点眼内レンズが適さないことがあります。 大学病院では術前検査で眼底・角膜・視神経を含めて確認し、必要に応じて単焦点眼内レンズや焦点深度拡張型レンズも含めて提案します。

6. 費用と選定療養について

当院で採用している多焦点眼内レンズは、選定療養の対象です。 選定療養とは、白内障手術や術前後の検査は保険診療で行い、多焦点眼内レンズと単焦点眼内レンズの差額分を患者さんにご負担いただく制度です。

以下は選定療養費のみの金額です。実際のお支払いには、保険診療分の手術費・検査費などが別途加算されます。

レンズ名 乱視矯正なし(税込) 乱視矯正あり(税込)
PanOptix ®
パンオプティクス
300,000円 330,000円
Gemetric ® / GemetricPlus ®
ジェメトリクス/ジェメトリクスプラス
360,000円 330,000円
Odyssey ®
オデッセイ
300,000円 330,000円
Pure See ®
ピュアシー
300,000円 330,000円

※2026年2月1日時点の情報です。費用は変更となる場合があります。

7. よくある質問

Q1多焦点眼内レンズにすれば眼鏡は不要になりますか?
眼鏡を使う場面を減らせる可能性はありますが、完全に不要になるとは限りません。細かい文字、暗い場所、長時間の読書などでは眼鏡が必要になることがあります。
Q2夜間運転はできますか?
手術後に運転できる方も多くいますが、レンズの種類や個人差により、ヘッドライトや街灯がにじんで見えることがあります。夜間運転が多い方は、ハロー・グレアの少ない設計のレンズも含めて慎重に相談します。
Q3乱視も一緒に治せますか?
角膜乱視の程度や状態によっては、乱視矯正用の多焦点眼内レンズを選択できる場合があります。乱視が残ると多焦点眼内レンズの見え方に影響しやすいため、術前に詳しく測定します。
Q4他の眼の病気があっても多焦点眼内レンズを選べますか?
黄斑疾患、糖尿病網膜症、緑内障、角膜疾患などがある場合は、多焦点眼内レンズが適さないことがあります。眼底検査やOCT検査の結果を踏まえて判断します。
Q5どのレンズを選べばよいかわかりません。
診察時に、見たい距離、仕事、趣味、運転の頻度、眼鏡をどの程度減らしたいかを伺い、候補となるレンズを一緒に検討します。

8. まとめ

患者さんへ

多焦点眼内レンズは、白内障手術後の生活をより便利にする可能性がある選択肢です。一方で、見え方には個人差があり、眼の状態によっては単焦点眼内レンズの方が適している場合もあります。 日本大学医学部附属板橋病院では、検査結果と生活スタイルをもとに、患者さんにとって無理のない眼内レンズ選びをサポートします。

※関連するページ

03-3972-8111 (2531)

〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町30-1

個人情報について

ページトップへ戻る